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伏線の美しい映画の悦を右脳が欲してる

映画という2〜3時間の枠の短い枠の中で観客を楽しませるには「伏線とその回収」がとても大切だ。

 

序盤に貼られた回収を映画の盛り上がりのピークで美しく回収させること、おそらく映画監督や脚本家の一番の腕の見せどころじゃないだろうか。

 

でも、残念ながら大概の伏線はクソだ。つまり大概の映画はクソなのだ。

大風呂敷を広げて回収しきれてない映画もあるし、論点のずれた伏線を無駄に貼ってしまうことで焦点がぼける映画もある。張ってる伏線があまりにどうでもいいテーマだというのもよくある。

 

私が感じた素晴らしい映画を二つあげよう。

HANABI

言わずと知れた、北野たけしの作品である。これは素晴らしい。なんといっても、最後のシーンだ。最後、「HANABI」の音のなったその瞬間に「HANABI」というタイトルと映画のシナリオ自体が全て繋がる。それまでのシナリオ全体が伏線なのだ。「音」でこんなに感じさせる映画は他に私は知らない。海外で結構評価されていたように思うけど、外国人にこの哀愁が果たして理解できるのだろうか。思い出すだけで鳥肌が立つ。バーン。(とても暗い映画ですよ。私が見たのは15年前の若かりし頃。。)

②GATTACA

宇宙飛行士を目指す兄と彼の不正を追求する刑事の弟が、終盤のシーンで兄弟で遠泳競争をするシーン。ここが間違いなく、ガタカの一番の名シーン&名セリフです。日本語に翻訳するんじゃなくて、英語で読むべきセリフです。このシーンの日本語字幕は言葉足りず過ぎる。以下の約は私がちょっと改変してます。

 

弟:Vincent, How are you doing this? how have you done any of this?
訳:ヴィンセント、どこまでやる気だ?どこからそんな力が…。
 
弟:We have to go back.
訳:もう戻ろう。
 
兄:It's too late for that. We'er closer to the other side.
訳:もう遅いさ、戻るより向こう岸の方が近いぞ。
 
弟:What other side? You wanna drown us both?
訳:馬鹿言え、二人で溺れ死にたいのか?
 
兄:You wanna know how I did it? This is how I did it, Anton. I never saved anything for the swim back.
訳:俺がどうやったか知りたいだろう?あの時(初めて遠泳に兄が勝った時)もそうだった。戻ることなんか考えないで全部の力で泳いだんだ!

 

そして、ヴィンセントが弟を抱えて見上げる星空(宇宙)。ここのシーンに物語の全てが込められている。この映画は、このシーンのために作られてるんじゃないかと思うくらい美しいシーン。映像のセンスといい、音楽のセンスといい、最高すぎる映画だ。

 

HANABIは強烈な印象が最後に凝縮された作品だけど、繰り返し見ようとは思わない(見る必要が感じられない)のに対して、GATTACAは私にしては珍しく3、4回見てる映画だ。映画全体がなんとも美しい。

こういう素晴らしい映画を見ると、右脳がビビビッと感じる。そして見終わった後、悦に浸れる。あぁええなぁ、と。

 

ちなみにこの監督、アンドリュー・ニコルさん、昔々に作った「トゥルーマンショー」と「Gattaca」は素晴らしいが、その後の作品は今ひとつ。(彼の作品全部は見てないけど、TIMEは残念だった。なんだか、コンセプトはオモシロイんだけど、彼の悪いところ(詰めの甘さ)が大事なところで全面に出ちゃってる。多分予算内にまとまりきらず、制作側が強制的に終わらせた映画だろうと思う。ハリウッドではよくある話らしい。)

 

 

最近ハイレベルな映画に出会わない問題

問題は、最近こういうハイレベルな映画にほとんど出会わないことだ。もっと新しい映画を紹介したいのにぱっと思いつかない。私が見れてないだけかもしれないけど。

 

ちなみに、最近だと、クリストファー・ノーランの映画は大好きだけど、けどけど、どうも最後の最後に、余韻が心に突き刺さってくる感じがない。いや、シナリオはとてもよく出来てるし見応え抜群なんだけど。

彼は頭もセンスもとてもいいし、天才的にいい映画を作るんだけど、頭のいい人がパズルを組み立てた感が出ちゃってるというか、テクニックに走り過ぎてる、という感じがあって、クロサワ映画にあるような何か大切なものがかけてる気がする。最近のハリウッドが生み出した天才職人っていう感じ。

 

右脳にびびっときて、見終わって悦に浸れる映画に出会えない問題については、もしかしたら自分が年をとったせいなのかもしれない、とも思う。いうても、だいたいの映画ストーリーはもはやパッケージ化されてるし、沢山の映画を見てきたことで、なんとなく先が読めてしまうようになって伏線に感動しない体質になってるのかもしれない。

 

でも、それでもそれでも、びびびっと来る映画をみたいなぁ。